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On Liberty 10

JOHN STUART MILL

On Liberty and The Subjection of Women / Edited by ALAN RYAN (PENGUIN CLASSICS)

読んだ箇所:On Liberty Chapter Ⅳ P96-P105

 

P95 There is no parity between the feeling of a person for his own opinion, and the feeling of another who is offended at his holding it; no more than between the desire of a thief to take a purse, and the desire of the right owner of it.

P104 I am not aware that any community has a right to force another to be civilized.

P105 If civilization has got the better of barbarism when barbarism had the world to itself, it is too much to profess to be afraid lest barbarism, after having been fairly got under, should revive and conquer civilization. A civilization that can thus succumb to its vanquished enemy, must first have become so degenerate, that neither its appointed priests and teachers, nor anybody else, has the capacity, or will to take the trouble, to stand up for it.

 

 

まとめ

 人の生活に容喙するなということで、いくつかの具体的問題に触れている。

①  イスラム教徒が多数を占める国で、(イスラム教徒でない人まで巻き込んで国全体として)豚肉を食べるのを禁止することは正しいか?

②  スペインで、ローマカトリック教会式以外の礼拝を禁止したり、聖職者が結婚することを妨げたりすることは?

③  アメリカニューイングランド地方や共和制時代のイギリスで清教徒があらゆる娯楽・遊びを非難したことは?

ここでさらに、アメリカでは清教主義からくる節制が強調されすぎて、個人のお金の使い方についても贅沢がとがめられたり、高度な技術をもつ職人がより高い報酬を得ることすら非難されたりする風潮があることに言及している。

また、アルコール飲料が法律によって禁止されていることについても触れられている。

④  安息日について。おもしろいのが、製造業の場合工場全体を止める必要があるなど、安息日の習慣を守ろうとしたら社会全体でやらないと実効性がなくなるという点。なので、基本的には社会が安息日を設けてその日はみんな仕事を休みましょう、というのはいいけど、個人事業の場合はその人の自由だし、休日のレクリエーションに関連する仕事についている人が働くのは自由だと言っている。

⑤  最後に、アメリカで成立した新興宗教、モルモン教について。ミルはモルモン教を詐偽だと言っており、一夫多妻制にも完全に反対している。それでも、モルモン教徒が集団で故郷を捨てて、新たな居住区を開拓して定住したのにそこに十字軍を送りこむようなことは、まごうことなき迫害そのものだと言う。ただし、宣教師を送って説教するのはいいらしい。

  

感想

 モルモン教徒の自由は擁護するけど、インドと中国の住民には干渉するんかい!って思わずにいられないけど、まあええわ。

 最後の最後で、(かなりざっくり意訳したまとめだけど)一度教化・教育された社会で再び野蛮が蔓延るなら、それは社会が堕落している、牧師や教師がふがいないのだと言っていて、考えさせられた。

 牧師や教師は今でいうと、SNSのプチインフルエンサーとか登録者数万人のYouTuberくらいの存在かなぁ。当時(19世紀)に比べたら一人一人の発言の波及力が桁違いに大きい一方で、一応内容は多様化・多極化している。昔に比べて自由な意見を言える世の中。でも、全体として野蛮から洗練へ、不毛から創造へ進んでいるという感じはない。野蛮は野蛮として残っている。これは、SNSの発信が言いっぱなし&ファン・フォロワーが共感してくれて終わりがちで、議論になってないからか。

 議論ってなかなかしないよね。私もとんとしません。勇気をもって発言する人やそれを広める手段は増えたけど、議論の場を設けたりその場に出てくる機会は増えてないから、多様化するだけで全体として良くなる効果がないのかも。建設的な議論の作法を教育することを重視した方がいいのかもしれないね。論破とか、勝ち負けをつけるんじゃなくて、参加者みんなが何かを得られる議論の仕方を身につけたいね。

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